成果

本プロジェクトの成果は、次の三つである。

1)パーソントリップ調査データに基づく21世紀初頭大カイロ社会の空間モデル解析先に指摘したように、2001年10月1日にJICAによってカイロで実施されたパーソントリップ調査データは、その本来の実務的な目的を超えて、21世紀を迎え、その後に質的な大きな変貌を遂げるカイロ(大カイロ)前夜における住民の生活様式の分析を可能にさせるビッグデータである。つまり、パーソントリップ調査データは交通計画に特化した実務的目的をもった統計資料であるが、それをほかの既存のデータ・情報や現地での生活体験などを踏まえて解析することによって、20世紀後半におけるカイロの肥大化(大カイロの形成)と、21世紀に入ってからの爆発的拡大によって副都心や衛星都市を抱える人口200万のメガロポリスとなる大カイロ都市圏の形成過程を分析することができる。
☞こちらの論文を参照:Yutaka GOTO, Susumu SATO and Hiroshi KATO, “Person Trip Survey Data as a Source Material for the Study on the Living Area in Greater Cairo―A Case Study on the Animal Drawn at the Beginning of 21st Century”, Mediterranean World XXV, the Mediterranean Studies Group, Hitotsubashi University, March 2021, pp.153-177

2)近現代カイロ圏に関する時系列統計のデータベース作成と、地図を中心とした地理情報、さらには 写真・絵葉書などの画像資料のデジタル収集と解析
パーソントリップ調査データに基づく空間モデル解析と接合させ、大カイロ都市圏形成の歴史を多角的に明らかにするため、人口を中心にした社会経済の時系列統計の収集・分析と、歴史地図を含む地理情報、さらには写真や絵ハガキを含む画像資料の収集・分析を行う。
☞こちらの論文を参照。Hiroshi KATO, Eri DEGAWA, Susumu SATO and Yutaka GOTO, “Historical Transitions of Qisms (Districts) of Greater Cairo”, Mediterranean World 25, 2021, March, pp.179-197.

    

3)大カイロ都市圏について収集した各種データ・情報の一元的資料管理方法と、それらに基づく、大カイロ都市圏を事例とした、エジプト地域研究における新たな分析手法と研究領域の開拓。
一元的資料管理方法については、データ・情報のデータベース化とデジタルアーカイブ化をめざす。新たな分析手法と研究領域の開拓については、GISを中心とした情報科学の分析手法を有効に使って、1)と2)の作業を結合させる。共通するのは、空間分析の有効利用であり、その結果をウェブ上で公開する。
☞本ウェブサイト・トップページのGIS「カイロ圏都市研究のデジタルプラットフォーム構築」

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